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地質学雑誌
 
地質学雑誌の投稿の手引き
2003年1月投稿規定・編集規約等の改訂に合わせて修正
論文題名について 著者名と所属・連絡先の標記について 
アブストラクトについて キーワードについて
論文見出しのフォーマットについて 調査結果の記載について 図表類について
口絵・図版・写真 未公開文献の引用と謝辞 地名対照表について
投稿原稿のページ数見込みについて
文献欄表記の統一 
欧文雑誌名略記例(PDF)  雑誌名等を引用する際の略記例(PDF)  鉱物名などの略号(PDF)
地質学雑誌における古生物記載法(PDF)
印刷校正についてのお願い
論文見だしのフォーマットについて
 論文の見だしについては,投稿規定に実例として示されていませんが,これまで出版された論文の誌上での体裁をご参考にしていただいています.雑誌内での掲載論文の体裁が統一されていることは非常に重要ですから,投稿時に事前にチェックして下さい.ご参考に,地質学雑誌上では以下の見だしフォーマットで統一しています.
 大見だし:「ゴシック,中央そろえ, 上下に1行空行」
 中見だし:「ゴシック,行頭に番号とピリオド,左寄せ」
 小見だし:「ゴシック,行頭に括弧付き半角番号,左寄せ改行無し」
 これ以下の見出しについては,著者の自由としていますので,最小限上記の体裁で投稿原稿も作成して下さい
 
調査結果の記載について
 野外地質調査結果の記載は地質学分野の研究論文において重要な位置をしめることはいうまでもありません.必要かつ十分な記載は,極端にいえばそれらの解釈やそれに基づく考察が誤りであっても,その結果の事実だけは後日の役に立ちうる成果となって残ります.ここでははじめて投稿される方を対象に初歩的な指摘を次にのべます.
(1) 主要な記載事項を絞る
 ある地域を調査した結果をなんでもかんでもすべて記載する必要はありません.たとえば構造発達史が主題の論文に『○○地域ではA層にベントナイト層が挟まれており,これは化粧品原料として毎年100t加工されており,その品質は・・』と記述するとか,直接関係ないけれどたまたま採取した鉱物のX線回折チャートなどをせっかく測ったからのせてやろうとする必要はありません.総合的にある地域を調査した結果であっても各論文ごとに完結した記載が望ましいわけです.
(2) 記載と考察はわける
 結果の一頃ごとに考察をいれることは原則的にはやるべきではありません.こうした場合その論旨は飛躍していることが多いのです.たとえば『この礫岩は大部分が花崗岩の円礫からなり,その最大礫径は10cmである.このことから,本礫岩の礫の供給は○○地域に由来することが推定される.また,礫は引っ張り剪断をうけて破砕していることが多い.このことは本礫岩分布域にその堆積後南北性の引っ張りが働いたことを示している. …』などといった書き方は記載と解釈の混同があり,かつ論旨展開に無理があり好ましくありません.しかし短い論文などで「結果と考察」と題して,両者を平行的に記述した方が読者にとって理解しやすくなる場合などはこの限りではありません.
(3) 地層名の新称や再定義は客観的かつ必要最小限に
 一般的な地層命名法に従うことはいうまでもありませんが,特に日本の場合は大抵の地域はすでに調査されていることが多いので,既存調査結果との違いや対比を明確に示しておくことが必要です.他の研究者がトレースできるような情報(位置図・地質柱状図・岩相・・・,地質調査所の5万分の1地質図幅の記載などは1つの参考になります)をきちんと与えるような記載であるべきです.
また新規性を強調したいあまり,なんでもかんでも新しい名前を付けることは避けるべきです.ある人が最下位にある火山灰層にA火山灰層と名付けた後,別の人がこの火山灰は黒雲母(biotite)が多いからB火山灰層と新称し,さらに,他の人はこれはクリスタルアッシュ(crystal ash)が主であるからとしてC火山灰層と名付け混乱しているという笑えない実例すらあります.
これは地質構造の命名においても同様です.内容的に新規性がないのに,全くおなじ断層や褶曲に対して他人の定義した名前に同意できないからといって改名する類の行為も慎むべきです.
 
図表類について
地質学の分野では他の研究分野にもまして,地質図をはじめとする図表類の良し悪しが論文の評価を定める重要なポイントであることはいうまでもありません.地質学雑誌は投稿論文の図表類の製図は行いませんので,著者の原図類がそのまま(あるいは縮小されて)掲載されます.査読の過程で繰り返し指摘されることを以下に要約いたしますので,投稿前に参考にして下さい.
(1) インデックス図には,論文中で出てくる主要な地名を表示すること.
 インデックス図は,対象地域の位置関係を一目で理解してもらうために不可欠ですが,その他に論文中で触れている地域・地点を理解するのにも重要な役割を持っています.縮尺によっては全ての地名を表記することは不可能ですが,逆に本文中の重要な地名はどれかの図中に示されているように気をつけて下さい.
(2) 地質図と地質断面図が一致すること.
 これはそもそも断面図がおかしい場合があります.極端な例では,地質図の背斜構造が断面図では向斜構造になっていたりします.断面線の位置がずれているために貫入岩がぬけていたりすることもあります.また.地層の模様が両者で異なっていたりする(特に,地質図で横縞なのに,断面図で縦縞になったりする)ことがあります.違う機会に作った図の場合に多いミスでしょう.
(3) 方位の真北は左右対称に.
 北を表すのは真北・磁北,地図上の北(経線)と3種類ありますが,通常論文に掲載される程度の縮尺では真北を使うのが妥当です.この場合方位を表す矢印は左右対称の図柄で示して下さい.また,図ごとに図柄が変わるのもややみっともないので,とくにあらたに作る場合は統一することをお勧めします.縮尺の表現も同様です.
(4) 緯度経度を入れる.
 著者にとっては自明の調査地域でも,読者にとってはそうであるとは限りません.特にサンプルや化石の採取地点を示す場合など緯度経度を入れることを忘れないで下さい.
(5) 模様はわかりやすく.
 海岸地域の地質図の場合は,沖積層ないし第四紀層を白抜きにすると海域と区別しにくくなる場合があります.また,隣接した岩体・地層の模様が込み入りすぎていると識別がしづらくなります.特に縮小する場合は実際に縮小コピーなどで出きばえをチェックした方がよいと思います.手書きの模様はなるべく避けて下さい.また,地層の境界線と断層などの構造線は太さを別にして下さい.
(6) 図表の大きさに配慮する.
  A4判を有効に利用すればより大きく図表類が掲載できますが,十分にその有利さが生かされていない場合が多くあります.小さく,文字が読みにくくても適当に縮尺を指示してくる例があります.また,そんなことは百も承知で短報にできる限り図を盛り込むために無理をし,折角のA4判が生かされないこともあります.縮小コピーの活用をおすすめする次第です.本質的には適当な枚数の図表ということにつきますが,せっかく作って愛着があるから,査読で何といわれようとただの一枚も省略するものかなどと変なところでがんばらないでいただきたいものです.
(7) 図のバランスに留意する.
 ページの大きさが決まっていますから,図の中の必要な情報が最大限の大きさで印刷されるように検討して下さい.論文には関わりのない地域までを索引地図に含めたり,不定形の図の配置が不必要な空白を生じさせていたり,図の中に入れられる方位記号や縮尺を外に出して図の外形が大きくなったりしている例が非常に多く見られます.また,単なるインデックスの日本地図などは,縮小して他の図に組み込むなどすれば,総ページ数を圧縮するのにも役立ちます.ちなみに頁片段の幅は8cm,両段にわたる場合は幅17cmとなります.
(8) キャプションと言語は統一する.
 論文の図表全てについて,説明文の言語は日本語か欧文のどちらかに統一することになっていますが,これは図表中で使われている文字も含みます.例外は和文で統一された図表中の固有名詞(地名,地層名,化石名等)で,これらは本来の言語のままで構いません.
(9) 図と表の違いは?
 本来,表とは活版印刷で版組みできるものだけと定義されてきました.そのため,文字と横線だけで構成されている付図を表として認めてきましたが,地質学雑誌の印刷方法が変更されて以降,表として提出された原稿も現在はそのまま写真印刷されています.従って,「縦線や斜めの直線がちょっと入っているから表ではない」とは認識していませんが,不整合を波線でいれたり,ワープロや切り張りで文字を回転させている場合など,複雑なものは現在も図として扱っていただいています.図表番号の振り直しは大変な作業ですから,事前に十分検討して下さい.
(10) 出版済みの図表の引用の際の注意.
 引用する付図についての著作権の問題も,近年重要になってきました.地質学雑誌でも,掲載論文ごとにコピーライトの表示を入れています. 他人の論文の図を引用するときには,「掲載雑誌の出版社または著者に承諾を得る」という原則は十分に認識して下さい.編集委員会としては,当該の図表の引用に関する手続きは,投稿者が責任をもってクリアしている前提で作業していますが,ひとたび地質学会のコピーライトマーク付きで出版されてしまうと,万が一のクレームは当該出版社から学会に直接来ることになります.多くの国際出版社の規約を見ると,投稿者本人が自身の付図を使いまわすことにはそれほど神経質ではないようですが,だからといって,第三者の著者にメールで承諾を得たからコピーを使えるかどうかは疑問な場合もあります.図表の引用に際しては,「Written permission from the copyright holder」が必要かどうかよく調べておいて下さい.
 また,誰かの付図を許可を得る必要が無いようにするためにちょっと変更(追加修正)して,「Modified after 誰々」とするのは著作権の侵害にならないでしょうか?どのくらいModifyすれば新たなオリジナリティーが発生するのでしょうか?これらの判断は原則として投稿者にまかせられていますが,トラブルが起きないような事前の措置を十分に行っておくようにお願いします.
 
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