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第111巻11月号(2005年)
第111巻11号(2005年11月号掲載)
今月号は特集号「ヒマラヤ―チベットの隆起とアジア・モンスーンの進化,変動」としてお送りいたします.本特集号の内容は,2004年9月に開催された地質学会千葉学術大会のシンポジウム「ヒマラヤ-チベットの隆起とアジアモンスーンの進化,変動」の講演者4名にさらに,シンポジウムでカバーし切れなかった分野の専門家を加えて構成されています.編集委員会では,明年早々に特集号「関東平野下に伏在する東西日本の境界―地表および地下地質からのアプローチ―」(論説8編)の発刊も予定しております.特集号の良さは言うまでもなく,あるトピックスを多面的に捉えることがある点にあります.そのトピックスに関心をお持ちの方,これから取り掛かろうとしている方など,様々な形でご期待に添うのではないかと考えています.ところで,近年,通常の論説投稿原稿の不足も目立ってきており,特集号でその不足分を補っていることも事実です.通常号が発刊される中で,どのタイミングで特集号が発刊されるのか難しい問題もありますが,是非「特集号の提案」を皆さまにお願いしたいと思います.とくに,学術大会シンポジウムを企画されている方は,「特集号の提案」を含めてシンポジウム立案をお願いいたします.
平成17年10月6日にSPARC/JAPAN連続セミナー「電子ジャーナル時代の学術情報流通を考える」第5回が,「主体である研究者は何をなすべきか―電子ジャーナル時代を迎えて―」が社団法人日本動物学会・国立情報学研究所の主催で開催されました(この連続セミナーには編集委員会として,編集委員長あるいは副委員長が出席しています).いくつかの講演のうち,山崎茂明氏の「インパクトファクターを正しく理解する:その定義と応用」は大変興味深いものでした.皆さんもよくご存知のインパクトファクターですが,たとえば「インパクトファクター(2003) =被引用数(2001と2002論文の引用)÷出版論文数」で定義されています.勿論インパクトファクターが高いことにこしたことはありませんが,最近その問題点が指摘されているとのことです.結論から言いますと,レビュー論文が多いとインパクトファクターが大きくなる,編集者が自誌引用を意図的に薦めるなどなど,インパクトファクターの操作と思しき行為が見受けられることを指摘されていました.山崎氏の講演の最後は以下のような言葉で締めくくられていました.「執筆,投稿から,掲載までの期間を極力短くしないと,その間に1年以上を経ると,執筆時に引用していた前々年掲載論文が,掲載時にはすでに3年前の論文となり,インパクトファクターの向上に寄与しなくなります」.すなわち「いい論文」を掲載することでインパクトファクターがあがるのは当然ですが,編集に異常に長い時間をかけてしまうと「水の泡」になってしまうとのことです.速やかな編集を心がけたいものです.
副編集委員長 久田健一郎
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