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Island Arc
 
日本語要旨
 
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Island Arc Vol. 15 Issue 2(June) 日本語要旨
1

1. Major and trace element provenance signatures in stream sediments from the Kando River, San'in district, southwest Japan

  Edwin Ortiz and Barry P. Roser
島根県神戸川の河川堆積物における主成分元素・微量元素の起源特性
島根県神戸川流域における基盤岩は2つに大別される.白亜紀−古第三紀の花崗岩類・珪長質火山岩類が上流地域に卓越し,より苦鉄質な主に中新世の火山岩・火山砕屑岩が下流域に分布する.また地球化学的に特徴のある三瓶山アダカイト質火山噴出物が西方に分布する.流域の河川堆積物86試料の2つの粒度区分(180μm以下と180-2000μm)について,主成分元素と14微量元素の蛍光X線分析を行い,淘汰と起源岩種の変化による粒度区分間の組成の差異を調べた.<180μm粒度区分では180-2000μm粒度に比べ,SiO2が減少し大部分の他の主要元素および微量元素が増している.Na2O・K2O・Ba・Rb・Srは180-2000μm粒度に比べ乏しいかまたは小さな差異を示す.花崗岩類が卓越する流域からの堆積物は,K2O・Th・Rb・Ba・Nbにより富むことで中新世火山岩類からの堆積物と識別される.花崗岩類起源の<180μm粒度区分もまたZr・Ce・Yに富む.一般に中新世火山岩類起源の堆積物は,その苦鉄質な起源を反映してより多くのTiO2・Fe2O3*・Sc・V・MgO・P2O5を含む.起源に三瓶火山を含む堆積物は,アダカイトの特徴を反映して高いSr・CaO・Na2Oと低いYで特徴づけられ,この特徴は掃流物質が均質化されるにつれ組成がより変化しなくなる下流の主流路まで持続する.起源岩の平均に対して規格化すると,<180μm粒度がいくつかの元素で富化されているのに比べ,180-2000μm粒度の組成がその起源からあまり分別されていないことが示される.粒度区分間の差異は花崗岩類起源の堆積物で最も大きい.堆積物の風化指数は比較的低く,起源岩の風化は中程度で温和な気候であったことを示す.いくつかの花崗岩類起源の<180μm粒度では180-2000μm粒度に比べジルコンの濃集が生じているものの,Th/Sc・Zr/Sc比は全体として下流域における起源岩と均質化の両方を密接に反映している.

Key words : stream sediments, geochemistry, major elements, trace elements, provenance, sorting, weathering, Kando River, Japan

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Geomorphic characteristics of the Minjiang drainage basin(eastern Tibetan Plateau) and its tectonic implications: new insights from a DEM study
Hui-ping Zhang, Shao-feng Liu, Nong Yang, Yue-qiao Zhang and Guo-wei Zhang
  チベット高原東部の岷江(Minjiang)流域の地形学的特徴とそのテクトニックな意義:DEM研究からの新しい見解

張 会平, 劉 少峰, 楊 農, 張 岳橋, 張 国偉
岷山(Minshan)山脈とその周辺地域はチベット高原の東縁辺における主要な大陸斜面をなす。岷江流域は四川盆地に隣接するこのチベット高原の東縁辺に位置する。Shuttle Radar Topography Mission (SRTM)で得られた数値標高モデル(DEM)の解析に基づき、岷江流域の中で異なる特徴を有する領域に分けることができる。北から南への単調な起伏度の増加は、高原における第四紀堆積物の形成および四川盆地に対するチベット高原東縁辺の広域的隆起に起因する。またDEM解析によって明らかになった岷江流域の二次的な流域の形及びそれらに分布する河川水路のプロフィールは、東西方向に非対称である。岷江主流域においては、東部の二次流域の輪郭長さおよび面積は西部のものより小さい値を示す。これらの違いは岷山山脈における第四紀の隆起の空間的な変化に起因すると考える。また西部より東部における河川長さと分岐比が小さい値を示すことは、東部の河川系が発達途上であることとその若さを示唆する。

Key words: geomorphology, Minjiang drainage basin, Tibetan Plateau, SRTM-DEM
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Middle Miocene to Quaternary primary basalt and high magnesian andesite magmas of north Hokkaido, Japan: Source mantle characteristics and degrees of partial melting
  Hiroyuki Ishimoto, Kenji Shuto and Yoshihiko Goto
北部北海道における中期中新世〜第四紀の初生玄武岩及び高マグネシア安山岩質マグマ:起源マントルの特徴と部分溶融度

石本博之,周藤賢治,後藤芳彦
北部北海道における中期中新世〜第四紀の未分化玄武岩及び高マグネシア安山岩は3つの時期からなる大規模な火山活動により生じたものであり,これらは初期(12-10Ma),中期(9-7Ma),後期ステージ(3-0Ma)のものに区分される.本研究は,これら3期にわたって産する未分化岩類に含まれるカンラン石及びスピネルの化学組成及び全岩化学組成などから,初生マグマの分離深度や起源マントルにおける部分溶融度の時空変遷を考察した.その結果,初期と中期を境に溶け残りマントル中のスピネルのCr/(Cr+Al)が低下していることや初生マグマの分離深度が浅くなったことが推定できた.すなわち起源マントル物質の改変やそれに伴うウェッジマントル内の温度構造の変化が示唆され,これは中期中新世における二つの背弧海盆(日本海盆及び千島海盆)拡大に関連する可能性が高い.


Key words: degrees of partial melting, North Hokkaido, olivine fractionation, primary magma, segregation depth, Tertiary volcanism
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Characteristics of subcontinental lithospheric mantle beneath Baegryeong Island, Korea: spinel peridotite xenoliths
  Young-Woo Kil
  朝鮮,白 令羽 島下の大陸下リソスフェア・マントルの特徴:スピネルかんらん岩捕獲岩
 白 令羽 島の中新世アルカリ玄武岩中に見出されるスピネルかんらん岩についての地球化学的データは,リソスフェアの組成,化学的プロセス,平衡温度圧力条件に関する情報を提供する.スピネルかんらん岩捕獲岩はプロトグラニュラー組織とポーフィロクラスチック組織の中間的な組織を呈し,上昇するアルカリ玄武岩マグマによって偶然に捕獲されたものである.捕獲岩は深さ50〜70 km,温度800-1100℃の場所に由来する.スピネルかんらん岩捕獲岩のモード組成と鉱物化学組成の変化は,捕獲岩が1〜10%の分別溶融を被ったことを示す.白_島のスピネルかんらん岩は部分溶融によるメルト抽出後に潜在的なマントル交代作用を被った.スピネルカンラン岩を肥沃化した交代作用の媒体はカーボナタイト・メルトであった.

Key words: Baegryeong Island, lithospheric mantle, spinel peridotite, metasomatism.
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