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Island Arc
 
日本語要旨
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The Island Arc Vol.13 Issue3 日本語要旨(計10編)
1

Thrust geometries in unconsolidated Quaternary sediments and evolution of the Eupchon fault, SE Korea

  YOUNG-SEOG KIM, JOON YOUNG PARK , JEONG HWAN KIM , HYEON CHO SHlN AND DAVID J. SANDERSON
韓国南東部の未固結堆積層中の低角逆断層とユプチョン断層の発達
韓半島は,アジア大陸の東端の比較的安定した地域に位置すると長い間信じられてきた.しかし,その南東部から最近10以上の第四紀断層が知られて来た.それらの一つであるユプチョン断層は,小学校の建設中に発見されたものである.しかも,それは原子力発電所に近接している.この第四紀断層の性質と特性を理解するために,2箇所でトレンチ調査を実施した.本断層は,主断層(走向N20E,傾斜40SE),変位約4 mを示し,副断層は,未固結の第四紀層を切っている.調査の結果,この断層系には,シンセティックとアンティセティックの断層,上盤に背斜構造,引きずり褶曲,バックスラスト,ポップアップ構造,フラットランプ構造,デュープレックスなどが見出された.これらは,固結した低角逆断層システムに普通に伴うものに非常に類似している.断層系の上部には,いくつかの破砕部が観察され,断層が上方に伝播して,上部で止まったことを示している.主断層に沿う礫は,断層に沿って長軸方向をそろえている.第四紀層と下位の第三紀安山岩または白亜紀堆積岩との間の不整合面は,逆断層センスの本断層で変位している.断層の下部では,センスは正断層であるので,もともと正断層だったものが,第四紀に逆断層に転化したものであることを示している.断層の長さと変位の関係から推定された第四紀の断層の延長は200-2000 mに及ぶ.この地域の現在の水平最大主応力軸の方向は,ユプチョン断層の斜めずれから期待されるごとくENE-WSWであり,それ逆断層成分をもつ右ずれ走向断層であると考えられる.
2
Metamorphism and metamorphic K-Ar ages of the Mesozoic accretionary complex in Northland, New Zealand
YUJIRO NISHIMURA, PHILIPPA M. BLACK AND TETSUMARU ITAYA
  ニュージーランド,ノースランドにおける中生代付加コンプレックスの変成作用と変成K-Ar年代
 ニュージーランド北島北方に露出するWaipapa Terraneの中生代付加コンプレックスは,沈み込みに伴う弱変成作用をうけ,北東から南西に向かって沸石相,ぶどう石−パンペリー石相,パンペリー石−アクチノ閃石相低温部に分帯される.泥質変成岩中の炭質物d002 値が3.642−3.564 Åを示すことから,その変成温度は300℃以下とみなされる.泥質変成岩27試料中の再結晶白雲母のK-Ar年代は,180−130 Maを示す北部ユニットと150−130 Maの南部ユニットとに区分される.前者はOtago南東海岸のCaples Terraneの年代群に,また後者はウエリントン付近のYounger Torlesse Subterraneの年代群よりやや古いが,ネルソン付近のCaples・Waipapa Terranesの年代群に対応する.

キーワード;付加コンプレックス,沈み込み変成作用,石墨化作用,K-Ar 年代,変成作用のピーク年代,ノースランド,ワイパパテレーン,ケープラステレーン,トーレステレーン
3
Character of sediment entering the Costa Rica subduction zone: Implications for partitioning of water along the plate interface
  Glenn A. Spinelli and Michael B . Underwood
コスタリカ沈み込み帯に持ち込まれる堆積物の性質:プレート境界に沿う海水の区分に関する解釈
ニコヤ半島沖の堆積物からは,それがコスタリカ沈み込み帯に持ち込まれることによって大量の水分が搾り出される.地震反射データと深海掘削計画Leg 170の結果から,堆積物の上部約135 m(0-210 mにおよぶ)が半遠洋性堆積物であり,下部の約215 m(0-470 mにおよぶ)は遠洋性炭酸塩軟泥である.我々はコスタリカプレート上の,各7 m以下の長さの60本のピストンコアサンプルの地域的な組成を差異を調べた.半遠洋性堆積物は平均すると,10 wt%以下がオパール,60wt%程度がスメクタイトであり,海溝に平行方向の違いはなかった.遠洋性チョークは2wt%程度のオパール,1wt%以下のスメクタイトであった.沈み込む堆積物のうちの大半(96wt%程度)は,最初間隙に蓄えられるが,沈み込み過程の初期のうちに間隙水は,圧密とテクトニックな圧縮によって排出される.スメクタイトの層間水として蓄えられた約3.6体積%が沈み込み帯に入る.そして,たったの0.4%がオパールに閉じ込められる.沈み込みフロントから30 km入ったところの,6 kmより深いところまで沈み込んだ堆積物は,間隙率が15%以下となり,温度は60℃以上となる.このような条件では,オパールとスメクタイトの間歇的に生じる脱水反応が局所的な流体過剰圧力を作り出す.それによって,流体の流れのパタンに影響が現れ,プレート境界の断層に沿う有効応力が減少する.

キーワード:コスタリカ,沈み込み,スメクタイト,生物源シリカ,オパール,地震発生帯

4
EVIDENCE FOR HIGH-CA BONINITE MAGMATISM FROM PALEOGENE PRIMITIVE LOW-K THOLEIITE, MUKOOJIMA, HAHAJIMA ISLAND GROUP, SOUTHERN BONIN (OGASAWARA) FOREARC, JAPAN
  Kosuke Maeharai and Jinichiro Maeda
  小笠原諸島母島周辺の向島に分布する未分化な低Kソレアイトの中の高Caボニナイト活動を示す根拠小笠原諸島, 母島周辺の向島に分布する未分化な低Kソレアイトから高Caボニナイト質包有物を発見した.母島から約50 km北に位置する父島はボニナイトの模式地であるが,母島周辺ではボニナイトの産出はこれまで報告されていない.この高Caボニナイト質包有物は非顕晶質であり,かんらん石,Caに富む単斜輝石,斜長石,クロムスピネル,不透明鉱物と濃褐色のガラスからなる.包有物とホストの鏡下の産状から2つのマグマの混合が示され,そのことからボニナイト質マグマと未分化なソレアイト質マグマが古第三紀の母島周辺で時空的に密接な関係をもって活動したことが示唆される.これら2つのマグマは未分化であり,わずかに異なったSr・Nd同位体を示すことから,それぞれ異なった起源マントルに由来したものと考えられる.これら2つの起源マントルは母島周辺に同時に存在し,高Caボニナイトの起源マントルは未分化ソレアイトの起源マントルに比べ,高い含水量と浅い深度の内の1つ,あるいは両方の特徴をもっていたと考えられる.

キーワード:小笠原前弧,母島,高Caボニナイト,マグマ混合,向島,小笠原諸島,未分化ソレアイト
5
K-Ar geochronology on the temporal change of eruptive style in the eastern Izu peninsula, central Japan
Ayako Ozawa, Takahiro Tagami and Masafumi Sudo
  中部日本,伊豆半島東部における火山活動形態の変化時期のK-Ar年代学
最近のK-Ar年代測定により,伊豆半島東部における火山の活動形態が0.3-0.2 Maのあいだに複成火山から単成火山へと変化したことが明らかとなった.変化の時期をより精度よく決めることを目的として,最も若い複成火山である天城火山の遠笠山安山岩と,最も古い単成火山のひとつで,部分的に遠笠山安山岩を覆っている遠笠山火山からあわせて10試料を採取し,K-Ar年代測定を行った.測定の結果,遠笠山安山岩は少なくとも0.34 Maから0.20 Maまで噴出したのに対し,遠笠山火山は0.26-0.29 Maの間に噴火したことがわかった.これは,遠笠山安山岩の北部は遠笠山火山の噴火の後で噴出したことを示唆する.過去のデータとあわせると,伊豆半島東部における火山の活動形態の変化は0.29-0.20 Maの間におき,その間単成火山,複成火山両方の活動が重なっておきていたと考えられる.

キーワード:東伊豆,K-Ar年代測定,質量分別,単成火山,複成火山第四紀
 
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