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Island Arc
 
日本語要旨
 
Vol.13(2004年発行)  Issue1NEW special Issue
Vol.12(2003年発行)  Issue4NEWIssue3 Issue2,  Issue1
Vol.11(2002年発行)  Issue4, Issue3,  Issue2,  Issue1
 
The Island Arc Vol.13 Special Issue 日本語要旨(計10編)
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1.Rock magnetism and paleomagnetic stratigraphy of fore-arc sediments of Japan Trench, ODP Sites 1150 and 1151
Kanamatsu T. and Niitsuma N.

   ODP Leg186により連続的に採取された日本海溝陸側斜面の堆積層の古地磁気・岩石磁気の測定を行った.APC法で採取した試料は掘削により低保磁力の磁化が獲得されていた.これを注意深く取り除くため,demagnetization planeにより磁化方位を解析し,生層序の情報を参考にして,上部中新統に至るまでの古地磁気層序を確立した.これによると堆積速度に急激な変化が見られ,特に前期鮮新統で最も大きな堆積速度を持つ.この事は南部日本海溝陸側斜面の沈降に関係するであろう.
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2.Middle Miocene to Pleistocene radiolarian biostratigraphy in the Northwest Pacific, Ocean Drilling Program Leg 186
Kamikuri S., Nishi H., Motoyama I. and Saito S.
   本研究ではODP第186次航海で北西太平洋(三陸沖)から掘削された1150と1151地点のコア試料を用いて,中期中新世から更新世の放散虫化石帯を設定することおよび放散虫基準面の年代を明らかにすることを目的とした. その結果1150地点のコアは9化石帯,1151地点のコアは11化石帯に区分された.また合計67の放散虫基準面を設定し,古地磁気層序と珪藻化石層序との対比によってその年代値を算定した.さらに現在までに海洋底および陸上試料から得られた放散虫基準面の地理的・層序学的分布を比較検討し,本研究で用いた化石帯の多くが北西太平洋の中緯度から高緯度にかけて広く適用できることを示した.
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3.Modeling seismic reflections from thin-bed dolomite layers in diatomite formation.
Sun Y F.
タイトル:珪藻土中のドロマイト薄層の音波探査解析
   ドロマイトの成因と続成は未だに十分に解明されていない問題である.ODPLeg 186の掘削孔からは多数のドロマイト薄層が検出されたが,震探記録のデータ処理により母岩の珪藻土とのコントラストを増幅させることで,垂直的な分布に加えてドロマイト薄層の水平的な広がりをも考察することを可能にした.解析の結果,これらのドロマイト薄層の形成場は小規模なイベントではなくて,堆積盆スケールであることが分かった.これは広域的ドロマイト化作用を示す初めての地球物理学的証拠である.孔井データによればドロマイト薄層の形成時期は堆積速度が変化する時期に一致することから,その形成は古海洋学的・古気候学的変化の時期の目安となる可能性がある.
キーワード:珪藻,堆積速度,震探分析,薄層,ドロマイト化作用
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4.Constraints on the state of in situ effective stress and the mechanical behavior of ODP Leg 186 claystones in the Japan Trench forearc
Ask Maria and Kopf A.
  タイトル:日本海溝前弧域ODP Leg 186の粘土岩の原位置実効応力と力学的挙動に関する束縛条件
   地震発生域(Site 1150)と非発生域(Site 1151)の粘土岩について実験岩石学的,堆積学的研究を行って違いを考察した.両Siteでは多くの物性が共通するが,発生域では開口性フラクチャーと2つの断層帯,および不可解な間隙水がみられた.リング剪断試験や三軸試験の結果,摩擦係数も原位置実効垂直応力も全体に低く,Site 1150の方が原位置実効垂直応力はいくらか低く,間隙流体圧はいくらか高かった.高い堆積間隙率,異常な流体の性質,高い間隙流体圧をもつが,その原因は深層の水の上方への移動と珪藻殻に求められる.深部で脱水作用が起こると断層にそって一時的に間隙水圧が上昇し,実効応力が低下する.掘削深度以深では,高い圧力-温度条件下で鉱物の相転移と膠結作用が起こり,摩擦,不安定すべり,地震破壊が増し,発生した地震は震源地の粘土岩の構造を繰返し破壊する.2つのSite を比べたときの降伏強度と膠結度の違いは,それに起因するものと考えられる. 
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5.Evidence for fluid flow in the Japan Trench forearc using isotope geochemistry (Cl, Sr, B): Results from ODP Site 1150
Deyhle A., Kopf A., Frape S. and Hesse R.
タイトル:日本海溝前弧域における流体移動の同位体地球化学的証拠(Cl, Sr, B):ODP Site 1150の結果
   1150から回収された堆積物中の間隙水について元素濃度とCl,Sr,B同位体の分析を行った.コアの下部にむけて塩素量は低下しSrとBの濃度は増加する.このような濃度変化はより深部での分別反応に起因していると考えられ,Site 1150にみられる剪断帯が深層流体の上方への通路の役割を果たしている可能性がある.δ37Cl,δ11B,86Sr /87Srなどの同位体の異常も加味すると,粘土鉱物の続成や火山灰の変質など深部での続成作用の働きも考えられる.深部でのSr,B,Liの濃集は,深部の流体がより深部の付加体から延びる断層を通じて上昇して水圏へ流出している可能性を示している.
  キーワード:火山灰の変質,粘土の続成,コンバージェントマージン,同位体地球化学,日本海溝,沈み込み帯
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6. A cross section through the frontal Japan Trench subduction zone: Geochemical evidence for fluid flow and fluid-rock interaction from DSDP and ODP pore waters and sediments
Deyhle A., Kopf, A. and Pawlig, S.
タイトル:日本海溝前弧域における流体移動の同位体地球化学的証拠(Cl, Sr, B)
  日本海溝沈み込み帯前縁部の流体移動と流体-岩石相互作用:DSDP/ODPの間隙水と堆積物からの地球化学的証拠要旨:日本海溝を横切る測線に沿ってDSDP/ODPコアの流体と堆積物の硼素や硼素の同位体の分析を行い,その組成や,流体-堆積物間相互作用を評価した.硼素含有量と同位体のコア深度変化をみると,海溝の外側にあるSite 436では岩質と続成の影響しかうけていない.それに比べ,斜面中部のSite 440と584やとくに斜面上部のSite1150と1151では,異なった大きな変化が認められた.すなわち硼素濃度や同位体比はコアの深部ほど高く,また地震活動度の高い所ほど高い値がみられた.Bsolid/Bfluid比はコアの下方へ低下した.これらのことから,前弧域では続成と深層の流体移動の影響があり,構造性浸食と沈み込みによりできた断層を通じて,硼素に富んだ流体の海洋への流出がおきていることを示唆している.
キーワード:硼素同位体,粘土の続成,コンバージェントマージン,流体-岩石相互作用,日本海溝,沈み込み帯
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7. A Middle Miocene to Pleistocene magnetobiostratigraphy of ODP Sites 1150 and 1151, Northwest Pacific: sedimentation rate and updated regional geologic time scale
Motoyama I., Niitsuma N., Maruyama T. et al.
タイトル:北西太平洋ODP Site 1150とSite 1151の中部中新統〜更新統古地磁気微化石層序:堆積速度と最新版地質年代尺度
ODP Leg 186の航海後の層序学的研究を総括してSite 1150とSite 1151の年代モデルを改訂し,堆積速度の見積もりや微化石イベントの年代値の算定を行った.たとえば中新統-鮮新統境界は両サイトとも200〜300m下がることが分かった.堆積速度の計算からは,いくつかのハイエタスや堆積速度の著しい増大期が検出され,珪藻の生産性の変動や前弧域のテクトニックな変動の影響を考察した.また,更新統から上部中新統にかけての良好な古地磁気記録にもとづいて,放散虫,珪藻,浮遊性有孔虫,石灰質ナンノ化石のいくつかの生層準の数値年代を計算し,古地磁気-微化石年代尺度の改訂案を提出した.
キーワード:石灰質ナンノ化石,珪藻,有孔虫,ハイエタス,古地磁気層序,新第三紀,北太平洋,放散虫,テフラ
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8.Japan Trench and tectonics of Japanese Island Arcs
Niitsuma N.
タイトル:日本海溝と日本列島テクトニクス
日本海溝域で掘削された深海掘削計画DSDPおよび海洋掘削計画ODPの堆積物を古地磁気生層序対比に基づき7つの時階に区分した.この年代層序区分は堆積速度・岩相・磁気強度・化石群集の変遷と良く対応おり,日本海溝前弧域のみならず日本列島のテクトニクスを反映している.この時階区分は,房総沖三重会合点の進化,フィリピン海プレートの沈み込み開始,日本海拡大と対応している.
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9.Faunal analysis of Neogene planktonic foraminifera from forearc sediments of Japan Trench, ODP Site 1151, Leg 186
Hayashi H.
タイトル:日本海溝の前弧海盆で掘削されたODP Leg 186, Site 1151における新第三紀浮遊性有孔虫の群集解析
  東北日本沖合の前弧海盆で掘削されたODP Leg 186, Site 1151のHole Aで得られた浮遊性有孔虫の群集解析により,北西太平洋における新第三紀の古海洋変動を考察した.この掘削地点では上部中新統から下部更新統までの層序区間で浮遊性有孔虫を産出したが,全く産出しない層準を11カ所で挟んでいる.これらの無産層準では,堆積物中での有機物の無機化過程で,有孔虫の殻が溶解したものと考えられる.Qモードクラスター分析で区別された3つの浮遊性有孔虫群集の変動により,この地点における新第三紀の古海洋変動は4ステージに大区分できる.さらに,3回の短い温暖化イベントと1回の寒冷化イベントが認識された.
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