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日本学術会議ニュース・メール  No.27 2006/08/25
日本学術会議協力学術研究団体事務局 御中
  
◎ 太陽系惑星の新定義!!
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■国際天文学連合総会における決議(報告)
   
  8月14日からチェコのプラハで開催されていた第26回国際天文学 連合(International Astronomical Union、以下IAU)総会は、8月24日、太陽系の惑星について、骨子以下のように決定した。
  
  これは海王星・冥王星より遠い小天体が最近多数発見されていることなどにより、これまでの太陽系像を改定する科学的必要が生じたもので、2年近い討議と特別委員会での検討、今回の総会での熱心な科学的討議により決定されたものである。特別委員会には、国立天文台の渡部潤一助教授が委員として参加した。
  
  なお、日本学術会議は日本における国際天文学連合の加入団体であり、今回の総会には日本代表として海部宣男日本学術会議会員(前国立天文台長)、ほか2名が派遣された。

(1) 太陽系の惑星は、水星、金星、地球、火星、木星、土星、天王星、海王星の8つとする。冥王星は、惑星とは呼ばない。これは、その公転軌道の近傍領域における力学的な主要天体であることを惑星の新しい条件としたことによるもの。冥王星は小さく、この条件にあてはまらない。
(2) 太陽系における新しい種類の天体として、「dwarf planet」を定義する。これらは小さいため惑星ではないが太陽を回る一人前の天体と認められるもので、これまで惑星とされていた冥王星、「小惑星」の仲間であったセレス、最近発見された海王星よりも遠くを回る天体2003UB313などが「dwarf planet」である。基準ぎりぎりの天体をdwarf planetとするかどうかは、今後制定されるIAUの手続きによるものとする。
(3) そのほかの小さな小惑星(アステロイド)や海王星以遠の天体、彗星、隕石など太陽系内の小天体は、「Small Solar System Bodies」と総称する。
(4) 「dwarf planet」のうち、最近発見が続いている海王星以遠の天体(Trans-Neptunian Objects)を、冥王星をその代表とする新しいクラスの天体と認める。このクラスの天体の名称はIAUのプロセスに従って検討する。
  
   詳しくは、国立天文台ホームページ(http://www.nao.ac.jp/)を参照されたい。
 
なお、上記のdwarf planet、small solar system body、Trans-Neptunian Objectsなどの和名と概念の整理、および関連する国内での記載法等については、今後日本学術会議と関係学協会が中心となり、科学や教育など広い分野の関係者と協議し、とりまとめて公表する予定である。
    
平成18年8月25日  日本学術会議 会長 黒川 清
日本学術会議会員(IAU日本代表)海部宣男
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