関連学協会連合
 
地質科学関連学協会連合
第1回年代区分検討委員会議事録

2005年7月22日
日時:2005年7月22日(金),15:00−17:00
場所:日本地質学会事務所
出席者:盛谷智之(東京地学協会),角替敏昭(岩鉱学会),新妻信明(地質学会地層名委員会),
斉藤享治(日本地形学連合),兼岡一郎(地質学会地層名委員会),宮地良典(地学団体
研究会),柳沢幸夫(産総研),天野一男(地質学会地層名委員会)

趣旨:国際地質科学連合(IUGS)の国際層序委員会(ICS)では,Tertiaryという用語は15年前より正式区分からははずされている.それに加えて,現在Quaternaryもその存続が検討されている.一方,2004年にCambridge University Pressより「A Geologic Time Scale 2004」が出版され,新しい年代区分に従った年代表が広く流布されはじめた.出版物等に与える影響は大きく,早急に検討し,対応策を策定することが必要となった.この状況に対応するために日本地質学会地層名委員会と地質科学関連学協会連合とでキックオフミーティングを行い,今後の方針について議論した.

議題:(1)「第三紀」と「第四紀」の年代区分について
■主要な意見■
1)学術的にはICSの方針は理解できる.ただ,日本において「第四紀」という用語の消滅は社会
的に大きな影響がでることが予測される.
2)日本における「第四紀」の定義を明確にする必要がある.特に,下限をPlioceneのGelasian
までおろすことについては検討が必要である.ヨーロッパの基準に基づいた年代区分について
は,慎重な対応が必要である.地形学の立場としては,第四紀のベースをPlioceneまで下げる
ことには問題を感じる.
3)新しいものを考える場合でも,使い勝手が良く国際的な対応が可能な区分を使用すべきである.
4)地質図幅,地方地質誌,教科書など影響がでるものについては,多面的に検討する必要がある.
ただし,結論がでるまでは,現行のものを最小限修正しながら使用する(例:地方地質誌,
フィールドジオロジー).
5)岩鉱関係としては,しかるべき検討の後,改訂されたものについては従う.
6)「Tertiary」の廃止は,日本においても大きな影響は無いので,「第三紀」は廃止しても
問題はないかもしれない.「古第三紀」「新第三紀」の訳語については,新しい訳語の案出
も含めて,早急に検討する必要がある.
7)国際的な対応によって時代区分を変えるのならば,後のばしにしないで,この機会に実施するのが適当である.

■今後の活動予定■
1) 従来国際的にどのような対応をしてきたか確認する.特に「Tertiary」が消滅した当時の
事情を調査する.
・佐藤正氏,高柳洋吉氏,中川久夫氏,斎藤常正氏等,当時の事情を知っている可能性のある
方と連絡をとり,正確な情報を収集する(天野担当).
・地質学会ニュース誌に寄稿依頼 
2)日本における第四紀の定義を明確にする
・第四紀学会に依頼する(斎藤文紀氏)
・特に,ICSで提示されている案では,第四紀がエポックをまたいでいるが,この点について
特に検討をお願いする.
・本年9月に予定されているベルギーでのワークショップの結果の情報収集と分析を行う.
3)Paleogene, Neogeneの訳語を考える
4)各学協会,産総研等の意見の集約
5)年内に地質学会としての提案書を作成する
6)「A Geologic Time Scale 2004」のレビュー
・斎藤靖二氏に依頼.
・9月学会時のランチョンで紹介し,しかるべき方にチェックをお願いする

次回日程:10月21日(金),15:00−17:00

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