新潟県中越地震の地質災害について今すべきこと
日本地質学会 会長 斎藤靖二
2004年10月28日

10月23日(土)17時56分に発生した新潟県中越地震は、わが国でも有数の地すべり地帯での強い直下型地震で、長岡市、小千谷市、十日町市、山古志村などを中心に甚大な被害を与えています。本学会として、被災地の皆様に心よりお見舞いを申し上げるとともに、一刻も早い復興をお祈りいたします。
 この地震では、ライフラインが多大の被害を受けたばかりか、山腹斜面の崩壊などによって生活道路が各地で寸断され、救援物質の援助もままならない状況となっています。現時点で優先すべき課題は、ライフラインの確保と被災地への輸送道路の確保です。おもに関係省庁や新潟県をはじめとする地方自治体によって緊急支援の努力が払われています。しかし、引き続く震度5〜6という大きな余震は、降雨の影響を受けて、さらに新たな地すべりや泥流など地質災害を引き起こすおそれがあります。こうした二次災害の防止と今後の防災および地質科学に寄与するために、関連研究機関・大学・企業・地方自治体等に所属する本学会員の有志が、地質災害委員会のもとに、新潟大学を連絡拠点として現地調査にあたっています。今回の地質災害に関する情報をお持ちの方には、ぜひ情報を提供して下さいますようお願いいたします。なかでも地質と地盤に関連して、河川の堰止めによる泥流発生危険箇所や雨水浸透や雪解けにともなう地すべり危険箇所の認定は、被害の拡大を防ぐ上できわめて重要な緊急課題です。学会員皆様のご支援とご協力をお願いいたします。
 地震や地質や地盤の関連学会のほかに、土木や建築や農業などの関連学会も現地調査を実施しており、多岐にわたる情報が集積されるものと予測されます。将来の災害予測や防止を考える上で、それぞれの専門分野の解析から明らかにされた事実を広く公開し、科学的に検討することが必要であると考えます。そのためには関連学会が連携協力して、できるだけ早い段階に、緊急報告会が実現できることを要望したいと思います。
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